ディレクター/プロデューサーのナガハラです。記事投稿はすっかり久しぶりになってしまいました。
この2、3年ほどで思いがけないほど仕事をとりまく環境が変わり、アジンコートにも静かに、しかし大きく変化が訪れることになりました。
オフィスの縮小移転、完全テレワーク、フルリモート体制への移行を行ってきましたが、ようやく新スタイルも定着してきたようです。
ここでは改めて、この数年の環境変化を振り返ってみたいと思います。
目次
・2017~2018年
・2019年
・2020年
└新型コロナウイルス(COVID-19)の蔓延
└オフィス縮小移転〜フルリモートワークへ
・2021年
└テレワークに慣れるにつれて
└オンラインになって
└この先はどうなる?
新宿5丁目オフィスでそれまでと変わらないスタイルで業務を行っていました。
この頃、数年ぶりの新卒採用活動を実施し、2018年春に1名採用。それまでも、採用の際は1名が基本で、実際の業務案件に加わってもらって仕事を覚えてもらう恰好でした。アルバイトやトライアル的に行ったインターン採用で学生らメンバーに入れ替わりで来てもらっていた時期でもあります。
フルタイムの社員も中途採用を不定期に行っていましたが、2年前後の在職となるケースが多かったです。
特に我々のようなWeb系・デザイン系の場合はそうしたケースも一般に普通で特殊ではないとはいえ、仕事を覚えてもらったと思ったら出ていってしまう、長く定着してもらいにくいという点での課題をこの頃から改めて切実に意識するようにもなってきました。
仕事環境や待遇面の改善、キャリアアップの仕組みの構築は今も道半ばです。
仕事スタイル面では、それまではメールが基本でしたが、2017年12月頃から Slack を試験的に導入しました。
(その前にも、関連会社のユナイテッド・エンタテイメントとの仕事のやり取り用に BrushUp を導入していますが、こちらはアジンコートの業務にはあまり適合しませんでした。)
もうひとつ、プロジェクト管理の方法も長年頭を悩ませていたのですが、業務支援メンバーのアドバイジングを受けながら2018年には Trello を導入しました。
使い始めの段階では、情報をどう登録していくのがいいのか掴みにくく大分苦労しましたが、アドバイジングで提供してもらった運用ルールガイドを元に手探りで使い続けるうちに、使い方ルールも徐々に浸透してきました。
アルバイト・インターン募集は一旦一段落していましたが、過去のインターン生からの紹介で希望者応募があり、10月から大学生インターン生を受け入れました。
国内大学生1名を約半年間、また同じような時期にたまたま参加した外国人留学生の就職マッチング説明会での応募で台湾からの留学生1名を約3ヶ月の予定で受け入れました。
出勤日の関係で残念ながら一緒に仕事をしてもらうことが叶わず、あまり面白い仕事を任せることはできなかったかなとも思いますが、それぞれ個性的かつ意欲的で、なかなか将来も楽しみなメンバーでした。
ユナイテッド・エンタテインメントの方でも絶えず数名の学生インターンが参加していたので、かなり人の出入りも活発で、世代的にも若いエネルギーに満ちていた感じもあります。
ただ、業務的にはその時その時の制作作業を細かく切り分け、その日来ているメンバーにオーダーするスタイルだったため、仕事を覚えたり、プロジェクトに参画しているというやりがいを感じてもらうにはほど遠かったかなと思います。
2020年予定の東京オリンピック開催を控えていた関係で、行政のアナウンスでもインバウンド激増を想定し、働き方改革の動きもあって、通勤を減らしテレワークを推進する動きが活発になってきた頃です。
社内でも、オリンピック開催時の交通機関の状況なども想定し、テレワークの実施に向けての課題抽出やアイデア募集などを実施。そして実際に交替で自宅からのテレワークを試行してみながら、環境整備をなんとなくですが進めてきていました。
とはいえ、実際の業務はやはりオフィスでなければやりにくい面も多くあったため、いざというときのための備え、という認識だったようにも思います。
テレワークに対応したネットワークの構築や、業務連携ツールの導入とともに、グループウェアや見積請求ツールも見直しを実施。
それぞれ数あるサービスを検討し、グループウェアとしてはテレワークにも対応した機能を持つ「NI Collabo 360」と見積請求ツールには機能や使いやすさ、コストを考慮し「The Board」というサービスを採用。
年度替わりに合わせて切り替えを実施しました。
ちょうど時期を同じくして、新型コロナウイルスの影響が顕著になってきました。
1月〜3月までは、感染拡大の状況推移に不安を感じつつも、まだ通常の出社型の勤務スタイルを維持していました。
ただ、緊急事態宣言が出されたことで、いよいよ出社を控え、在宅勤務を推奨する恰好になりました。
この時、前年からのテレワークに向けた取り組みや業務連携ツールの見直しが思いがけず役に立ったわけですが、もしこうした検討を全く行っていなかったらどうなっただろう、とちょっと恐ろしくもなりました。
一方、前年のインターン生からの紹介で春からの新卒社員を採用。いわゆる「リファラル採用」という形ですが、最初は出社勤務したものの、3日ほどで在宅勤務を余儀なくされました。
いろいろとレクチャーや社内コミュニケーションなども取らなければならないところ、まだ右も左もわからないところいろいろ不安も与えてしまったかと思います。
以降、広いオフィスに数名しかいないという事態になったこともあり、アジンコートは早々にオフィスの移転を決め、6月頃から物件探しを始めることになりました。
ただ、この頃は「しばらくして落ち着いて、また皆出社できるようになったらどうする?」という点ではなかなか判断が難しいところでもあったと思います。
しばらく悩んだものの、結果的に、
・デザイン制作、Webの仕事ということで、一番テレワークにはフィットしやすいスタイルでもあること
・兼ねてより人数に比して広すぎるオフィスという点で経営コスト面も課題を感じていたこと
・かつてのように便利な中心街に事務所を構えることのステータス価値がなくなってきたこと
などが判断材料となり、思い切ってテレワーク&オフィス縮小という方向にシフトすることになりました。
幸いにしてちょうどよい物件が見つかり、8月から引っ越しを開始、9月には完全に移転を完了しました。
業務的には、クライアントとの訪問対面打合せもなくなったこともあり、業務の連携は手探りでしたが、電話・メールに加え、オンラインミーティングを取り入れるスタイルがだんだんと定着。
一方コロナ禍によって特に店舗を持つクライアントからは絶えず情報更新の依頼がある一方で、イベント関連などではオンライン開催のための相談を受けたり、動画コンテンツの制作相談が微増に転ずるなど、状況の変化も出て来ました。
初めてから数ヶ月は、クライアントのサイト運営でも新型コロナ対策のための手探りかつ臨時の情報発信が非常に多くなり、業務的には多忙な状況でした。
慣れないテレワークで私だけでなくメンバーそれぞれもいろいろと試行錯誤したり悩みつつ、ストレスとも戦ったのではないかと思います。
新型コロナ蔓延から約1年近くがあっという間に過ぎ、少し状況も落ち着いて、他県への移動なども少し制限が緩和されてきた春頃のお話です。
テレワークが定着したのをいいことに、私個人的には勝手ではあるものの、長野での仕事の相談を口実に「ワーケーション」的に数日間地方からの仕事も試してみました。
ただ、個人的な感触としては微妙なもので、レジャーにも仕事にも集中できない、なんとも中途半端で消化不良な感じがしました。仮に地方に行っても、この日は仕事、この日は休み、にしないといけない気がします。
何時から何時までWeb会議、あとの時間は仕事の連絡は来ない、というような形でないと成り立たないのかもしれません。
その点、フリーランス、個人事業主の人は、在宅仕事も含め、元々がテレワークのようなスタイルでもあるので、参考にさせてもらいたいとも思っています。
そうして徐々にテレワーク体制定着してきましたが、外出して人と会う、街の季節感を感じるなどの記憶に残ることが激減したことで、気が付いたらあっという間に月日が経っているということを感じるようになりました。
久しぶりに打合せで会うことができたクライアント担当の方とも「季節感も何もあったもんじゃなくて、あっという間に過ぎちゃう」というような世間話をしたりもしました。
実にあっという間で、「あそこに手続きに行ったのはもう1年前になるの?!」というような感じで我ながら驚きを禁じ得ないことも多々ありました。
そしてここまでの間、キャリアアップ転職や契約期間満了などで1人、2人、と人が減っていた一方で、業務規模の関係で増員をしていなかったのですが、今回約2年ぶりに募集を実施。
基本的には都内もしくは近郊のメンバーなのですが、今回初めて地方在住のフルリモート社員も採用しました。
この2年のテレワーク実施で、中には数ヶ月直接対面していない(!)メンバーもおり、多方これまでにも地方のクライアントや協力会社、フリーランスのパートナーと対面なしで仕事をやっていたことも思い出し、「フルリモートも成り立つだろう」と判断したこともあります。
今回はとても多くの応募を受け、またどの人も優秀かつ魅力的で、その点今までなかった嬉しい悲鳴を感じました。完全フルリモートワーク、という点が特に魅力的に映ったようです。
今回3名採用しましたが、ほかにも「この人に加わってもらったらいいだろうな」という人も数名いました。
残念ながら現在の会社の体力や受け入れ体制的にも限界ということで、苦渋の判断で採用見送りとせざるを得ませんでした。
(ちなみにいわゆるお祈りメールは今回廃止、今後にご縁を繋げられればとも思う形でメッセージを送らせてもらいました。)
またこの先、こうした魅力的な人たちにも加わってもらえるよう、業務の幅も広げ、会社の体力を強化していきたいと思います。
数ヶ月経過し、クライアント訪問打合せも激減、むしろほぼゼロに近い恰好になり、新規のお客様との打合せもほぼオンライン、社内コミュニケーションもオンラインが基本になりました。
それほど頻繁ではないながら、Slack チャットと主に Zoom を用いたオンラインミーティングで、新しい業務スタイルにも慣れて月日も経過。
以前は会社近くに飲み屋街もあった関係で、社長やメンバー同士で比較的に頻繁に飲みにも出かけていましたが、それもほぼ皆無になったので、代わりにオンライン飲み会をたまに開いています。
ただ、最近の若い人たちは「飲みニュケ—ション」をそんなに必要としないという風潮も強く感じるようになり、さほど多くは行っていません。
ここ半年くらいからは、ノンアル派も多いこともあって「飲み会」という看板を避け「オンライン雑談」のような感じでたまに開く感じです。
ただ、オンライン飲み会は、お店の席の時間制限、閉店時間、終電、などの制約がない関係で、ズルズル続いてしまったり呑み過ぎ(!)てしまうケースも何度か経験しました。
飲み好きな私だけ?とも思いながら、とはいえこうした機会を設けないと関係づくりが難しいなとも感じます。
近年「ソーバーキュリアス」とか「モクテル」というノンアルコールの新たな潮流もあることだし、このあたりの文化を掘って極めてもらうのも面白いのかもしれません。
また一方、今回新メンバーが多く入ったこともあって、業務指導、レクチャーなどを意識的に増やすようになりました。
割と頻繁に画面共有をしながら、業務レクチャーやデザインレビュー、実装作業のデモなどを行っています。
やってみるとこれもなかなか便利だなと感じるようにもなっています。
考えてみると出社型の業務スタイルの時より皆で参加してもらう機会が増えたこと、また業務レクチャーなどでも、会社の場合だと誰かの席に集まって小さな画面をのぞき込んで行うか、会議室でモニターに映し出して行う、という形でしたが、なかなか頻繁には設けられませんでした。
また会議室だと居眠り(!)のケースもなきにしもあらずでした。
今までは本当に「OJT」の名のもとに、実際は個々に丸投げしっぱなしだったのかなと多少の反省もあり、なかなか指導やサポートは難しいものでした。
ただ、オンライン画面共有だと、人数によらず皆集中してもらいやすいようだと感じるようになりました。
画面を渡して、ハンズオンのような形で実際に手を動かしてもらうというような方法も取りやすく、集中力も維持しやすいのかなとも思います。
実際に集まって何かをするというのと異なるわけですが、このあたりは企業文化やメンバー個々のキャラクターにもよるのかもしれないものの、控えめなインドア派が多い今のアジンコートの社内文化には、実にフィットしているような気もしてきました。
気のせいかもしれませんが、オンラインスタイルになった後の方が、メンバー同士でのやりとりが頻繁になったようにも感じられます。
もっと規模の大きなところだと「バーチャルオフィス」でアバターで行き来したりするツールを導入したりするケースもあるようですが、そこまでは現状必要性は感じていない感触です。
また今後も状況を見ながら、良い方策や便利な機能などあれば柔軟に取り入れていきたいと思っています。
ふと、10数年前、当時在籍していた韓国人の社員デザイナーがビザの都合で帰国しなければならなくなり、ソウルに帰国中のデザイナーと半年〜1年ほどMSNメッセンジャーのチャットのみのやりとりで仕事をしたことがあったのを思い出しました。
時差もなかったので実現していましたが、考えてみるとこれもひとつの前例だったのかなとも思います。
今回、メンバーの一人は地方在住で、ほかにもまだお互いにリアルで会えていないメンバーが多いですが、毎日やりとりしているとそれなりに親近感も生まれてくるようです。
いろいろと制約の多い印象もあるテレワークですが、全体的な感覚としては「実に良い」という気がします。業種的にも不便や制約がほとんどないということも幸いしていますが、もっとうまく活用していければと思います。
とはいえ、オンラインで画面越しでのコミュニケーションをしていると、やっぱり直接会いたいなという部分はお互いにあるようです。
このあたりうまくバランスを取りながら、チームワーク、関係性を高めていきたいなと思います。