9月23日と24日の2日間、新宿西口の工学院大学で行われた『ETロボコン2011 東京大会』に行ってきました。
普段の仕事とは直接の関わりはないのですが、ひょんなことから昨年から個人的にお手伝いさせてもらっているイベントです。今年は私は音響PA担当ということで、会場のBGMとマイクの調整をさせてもらいました。
さてこの「ETロボコン」、我々Webデザインの畑とは別世界で、いわゆる組込みプログラムを扱う技術企業各社が集まって催されているイベントです。特に若手の技術者たちの登竜門という位置づけを目指し、また同業他社との横の交流活性化も目的とのこと。
よく「NHKでやってるロボコン?」と聞かれたりしますが、ちょっと違います。
「ET」すなわち組込み(Embedded Technology)が主眼に置かれているので、ロボット本体のアイデアやデザインではなく、純粋に動作プログラムを競います。参加企業の若手技術者のほか、理科系・技術系大学のチームや、中には高校生のグループも参加しています。全国各地で地方大会が開催され、そこで勝ち残ったチームが11月のチャンピオンシップ大会に出場するのですが、東京地区ではAブロックとBブロックに分かれており、それぞれ1日ずつ開催されました。
ロボット本体はLEGOのマインドストームNXTをベースとした直立2輪で自律走行するタイプのもので、指定コースを走行するタイムと、途中に設けられた「難所」をクリアすることで獲得できるボーナスタイムで総合タイムを競います。走行タイムが速く、さらにボーナスタイムを獲得すると、中には競技タイムゼロ秒!というチームも出てくるわけです。
ちなみにコースと走行体はこんな感じです。インコースとアウトコースがあり、これを第1回戦、第2回戦で両方走ります。
(大会本番中は持ち場張り付きで写真撮れないので、試走中の写真です)
難所には、シーソー、階段、ガレージイン、それから今年はリンボーダンスみたいに本体を傾けて低いゲートをくぐらせる「ルックアップゲート」、ペットボトルを指定枠外に押し出すか倒す「ET相撲」というのが設けられています。
また、走行競技ともう一つ「モデル」の評価で総合順位が決まります。
モデルは、いわば設計です。各チーム、勝つためにいろいろな作戦を立てますが、これをモデルとして事前に提出し、審査委員で入念に審査されます。
モデルの策定には、コンセプトや要件の定義、課題の抽出、個別処理の分岐やフローの設計など綿密な内容が含まれるので、技術者としては実際の業務での開発に求められるのと同様の作業を求められるわけです。
大会競技自体は、実のところ初めて見ると派手な要素がなく、ロボット自体も小柄で見た目の違いがないので、第一印象は「地味だなあ」という印象が否めないのですが、じっくり見ていると、同じ条件で競技しているにも関わらず、各チームごとに組み込まれたプログラム性格がさまざまであることがわかってきます。おっかなびっくりな走りのチーム、せっかちで前のめりなチーム、アクロバティックなチーム、デリケートな性格で坂道を登るのが大変なチーム、特攻野郎みたいな(失礼!)チームなどなど。
コースはラインを赤外線で感知して走行するのですが、会場の光の状況(天候による外光の具合も)によってもコンディションが変わってくるので、入念に設定をしておく必要があります。走行状況によって挙動を制御するためのしきい値の設定も実に細かく設計しておかなければいけません(光の周波数で違う!)。このあたり、私のようなノンプログラマには想像もつかない超絶な世界にも思えますが、非常に興味をそそられます。
競技終了後は、講義教室に場所を移してモデルワークショップが行われます。各チームのモデルを素材に詳しい解説や質疑応答など、活発な議論がなされます。
ちなみに、組込みプログラムではC などの言語が多い印象がありますが、最近はJAVAの採用も多いとのこと、JAVAならもしかすると私たちWeb系でも比較的とっつきやすいかもしれません。
ワークショップの後に同じ会場で表彰式、モデル部門、競技部門、総合、と各順位が発表され、その後は懇親会となります。
懇親会では実行委員、運営委員、参加者が入り交じって参加し、大会を振り返ったり他チームと交流したり、初対面同士で名刺交換したりしますが、堅い雰囲気は一切なく、まさに仲間同士の楽しいひと時。
会社や立場が異なっても、どうしたらもっとよいモデルが作れるか、走りを成功させられるか、と共通の目標を共有できるので、仕事のモチベーションも上がります。
(我々もこういう外のイベントや交流会にもっと参加したいものです)
今回知り合った人たちともいろいろ話をしていると、システム会社さんもWeb系業務は多くなっているようで、最近はAndroidやiOSのアプリ開発に注力しているそう。このあたりはアプローチは異なりますが、我々もがんばらないといけません。
1年に1回ということで、また来年はどんな模様が繰り広げられるか楽しみです。
その前に、チャンピオンシップ大会に出場するチームには是非がんばってもらいたいと思います。
実は私、昨年はなんと司会を担当させてもらって、今年は急遽(?)PA担当ということになったわけですが、今回も振り返ると、もっと出場チームのそれぞれ個性を掴んで、それに合わせた演出ができるといいかもしれないなと思ったりもします。それにはプログラムの知識も必要じゃないか!?
LEGOのマインドストームは昔から興味がないわけでもないし、うまく時間を作ってチャレンジしてみたいものです。
大会終了後は、実行委員メンバーに交じっておつかれ飲み会へ。中締め後はそれぞれ夜の街へ流れて行きました(笑)。
ETロボコン2011東京大会>>http://tokyo.etrobo.jp/
by Nagahara (director)